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最終更新日:2026年6月11日
「社会保険って、よくわからない」——合同会社の設立手続きを進めながら、筆者が最初に感じたのはその一言でした。
求人広告の運用代行(Indeed・求人マーケ)を仕事にしてきた筆者は、採用に関するノウハウはあっても、社会保険の実務は専門外。ChatGPTや税理士に相談しながら、少しずつ理解を深めているのが正直なところです。
「知らなくて当然、やったことないんだもの」——この記事を読んでいるひとり社長予備軍の方にも、同じ気持ちで読んでもらえれば。一歩ずつ、間違えながら進んでいけば大丈夫です。
この記事では、役員報酬と社会保険料の関係、そして6〜7月にやるべき算定基礎届について、筆者の実体験を交えながら解説します。
まず大前提:ひとり社長も社会保険への加入は「義務」です
「売上が出てから加入すればいい」「ひとりだから関係ない」——法人設立直後のひとり社長がよく抱く誤解を、最初に解消しておきましょう。
役員報酬がゼロでも「適用事業所」になる
法人(株式会社・合同会社)を設立した時点で、その会社は社会保険の「適用事業所」になります。役員報酬の有無に関わらず、法人格を持った瞬間から自動的に適用されるルールです。
筆者が求人運用代行の仕事をしていた頃、クライアントの中に社会保険に未加入の法人がありました。担当者に確認すると「正直よくわかっていなかった」という状態で、「アルバイトの勤務時間を週20時間以内に抑えれば加入しなくていい」という認識でいた様子でした。しかしそれはパート・アルバイトの加入要件の話であって、法人の役員(社長)には別のルールが適用されます。
役員報酬を1円以上設定したら加入「義務」が生じる
適用事業所になるだけでは、すぐに社会保険料が発生するわけではありません。ポイントは「役員報酬を受け取るかどうか」です。
- 役員報酬ゼロ → 社会保険に「加入できない」。国民健康保険・国民年金のまま
- 役員報酬1円以上 → 社会保険への加入が「義務」になる
筆者の現状も、まさにここにいます。合同会社の登記手続き中のため、まだ役員報酬を設定していません。現時点では国民健康保険のまま。登記完了後に役員報酬を設定し、そのタイミングで年金事務所での加入手続きを行う予定です。
設立前にChatGPTに相談していたとき、「役員報酬の設定=社会保険加入義務の発生」という情報が出てきました。奥さんをアルバイトとして雇う可能性を検討していたやり取りの中で知ったのですが、こういう情報はなかなか体系的に調べにくいですよね。
加入しないとどうなるか
社会保険への未加入が続いた場合、年金事務所の調査で発覚すると以下のリスクがあります。
- 年金事務所からの指導・是正命令
- 遡及徴収:過去最大2年分の保険料を一括で請求される
遡及徴収の制度については以前から耳にしたことがありましたが、「最大2年分」という期間を改めて意識すると話の重さが違います。手続きが面倒でも、義務はきちんと果たす必要があります。
税理士・社労士への確認を強くおすすめします。 加入タイミングや手続き書類の詳細は個人の状況によって異なります。
役員報酬と社会保険料の関係:「標準報酬月額」のしくみ
社会保険料は、役員報酬の実額ではなく「標準報酬月額」という等級に基づいて計算されます。
標準報酬月額とは?等級表で理解する
標準報酬月額とは、報酬月額をざっくりとした等級(グループ)に区分したものです。健康保険は50等級、厚生年金は32等級に分かれており、自分の報酬がどの等級に該当するかによって保険料が決まります。
筆者も会社員時代、給与明細に「標準報酬月額:〇〇万円」と記載されているのを見ていました。当時はほとんど気にしていませんでしたが、ひとり社長になって役員報酬を自分で設定する側になると、急に実感が伴ってきます。会社員あるある、ですよね。
4〜6月の平均報酬が1年間の保険料を決める(算定基礎届)
毎年4月・5月・6月に支払われた報酬の平均額をもとに、9月から翌年8月までの標準報酬月額が決まります。この届け出が「算定基礎届」です(提出期限:毎年7月10日)。
ひとり社長の場合、役員報酬を毎月定額にするのが一般的です。変動がなければ算定基礎届の記入もシンプルになります。筆者が役員報酬を毎月45,000円の固定額にしようと考えているのも、手続きを極力シンプルにしてリソースを本業に集中させたいからです。
算定基礎届の詳しい手順は後述のセクションで解説します。
「会社負担分も実質自分の財布から」という視点
社会保険料は個人(被保険者)と会社が折半して負担します。しかしひとり社長の場合は自分が会社であり社長でもあるため、個人負担分も会社負担分も、実質的には自分の財布から出ていきます。
求人運用代行の仕事を通じて、採用側(会社)のコスト感覚は少し理解していました。Indeedで求人票を作る文脈でも「社保の加入要件がどうか」という話題は出てきます。特に、扶養内で働きたいパート・アルバイトの方にとって社保の加入要件(週20時間・月額88,000円の壁等)は非常にシビアな問題です。
ひとり社長として「会社負担も自分の財布から」という現実は、役員報酬を設定する前にしっかり意識しておくべきポイントです。
採用代行経験者が見た「社会保険コスト」の本当の重さ
筆者の採用代行の専門はIndeedの求人運用・アナリティクス分析です。給与設計や社保コストの直接試算はしていませんでしたが、求人票に関わる中で、社保の有無が採用活動にどう影響するかは肌で感じてきました。
「社保なし」求人と「社保あり」求人の差
求人運用の現場では、社会保険の有無が応募数に影響することがあります。特に、扶養内で働くことを考えているパート・主婦の方にとって、社保の加入要件は非常に敏感な問題です。
クライアント企業の中には「アルバイトの勤務時間を週20時間未満に収めるよう調整している」という会社もありました。社保コストを避けたいという本音が透けて見えましたが、法人の役員(社長自身)については加入義務を逃れる方法はありません。雇用コストを意識するなら、社保の会社負担分も最初から試算に組み込む必要があります。
ひとり社長は「会社負担」も自分で払う
実際の数字で確認しましょう(2026年6月時点の参考試算)。
役員報酬45,000円の場合(標準報酬月額:58,000円・第1等級)
| 項目 | 個人負担 | 会社負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料 | 約2,892円 | 約2,892円 | 約5,784円 |
| 厚生年金保険料 | 約5,307円 | 約5,307円 | 約10,614円 |
| 月額合計 | 約8,199円 | 約8,199円 | 約16,398円 |
| 年間合計 | 約98,388円 | 約98,388円 | 約196,776円 |
※2026年6月時点・協会けんぽ東京都の料率を参考に算出した概算です。正確な金額は加入する健康保険組合・都道府県によって異なります。必ず年金事務所または税理士に確認してください。
ひとり社長が実際に支払う金額は「個人負担+会社負担」の合計です。役員報酬45,000円を受け取りながら、毎月約16,000円強の社保料を支払うことになります。国民健康保険と比較して負担がどう変わるかは、現在の保険料と試算額を照らし合わせてみてください。
将来採用を考えているひとり社長へのメッセージ
筆者自身は、当面は雇用より外注(業務委託)を選ぶ方針です。雇用すると源泉徴収・年末調整・社保手続きなど、自分が処理すべき作業量が大幅に増えるからです。リソースを本業に集中させたいひとり社長には、外注・業務委託という選択肢も十分現実的です。
もし将来的に誰かを雇うことを考えているなら、今から「採用コスト=給与+社保会社負担分」という視点を持っておくことをおすすめします。月給30万円の社員を雇う場合、社保の会社負担だけで月4〜5万円程度が上乗せされます。採用予算を組む際は必ずこのコストを見込んでおく必要があります。
【実体験】合同会社設立直後に役員報酬をどう設定したか
このセクションが、この記事の核心です。他の記事には書けない一次体験をお伝えします。
マイクロ法人を知ったきっかけ
フリーランス(個人事業主)として仕事をしていた頃、国民健康保険料の高さに悩んでいました。「これを何とかできないか」とAIチャットに相談したところ、出てきたのが「マイクロ法人」という戦略でした。
マイクロ法人とは、個人事業主がサービス業の合同会社(法人)を別途設立し、その法人から最低限の役員報酬を受け取ることで社会保険(健康保険+厚生年金)に加入する方法です。個人事業主の売上はそのままに、社保だけを安い等級の協会けんぽに切り替えられるため、国保より保険料を大幅に抑えられるケースがあります。
これは節税のグレーゾーンではなく、事業の実態があれば合法的な手法です。
「社保加入サービス」との違い
マイクロ法人の話を顧問税理士(個人事業主時代の確定申告を依頼していた方)に相談したところ、こんな言葉が返ってきました。
「マイクロ法人は知っています。社保加入を目的とした『社保加入サービス』は問題になっていますが、事業の実態があれば問題ないかと思います」
「社保加入サービス」とは、実態のないペーパーカンパニーに名義だけ登録して社保に加入させるサービスです。近年、これが違法として問題になっています。マイクロ法人との本質的な違いは「事業の実態があるかどうか」。求人広告の運用代行という実際のビジネスを法人化するのであれば、まったく問題ないとのアドバイスでした。
税理士の確認が取れたことで、安心して法人設立の手続きを進めることができました。
役員報酬45,000円に決めた理由
役員報酬の金額を決めるにあたって参考にしたのは、両学長(リベラルアーツ大学)のYouTubeです。「社会保険に加入できる最低ライン(最低等級)の役員報酬で設定するのが手取り最大化の観点から合理的」という内容で、具体的な金額として45,000円前後が挙げられていました。
「役員報酬8万円がお得」という情報もよく見かけますが、筆者は45,000円を選びました。理由はシンプルで、「社保への加入」が目的であり、生活費は個人事業主の売上から得ているため、法人からの役員報酬を最小限にする方が税務・社保の両面でシンプルだからです。
年金事務所への手続き(これから)
登記完了後、年金事務所の窓口で手続きをする予定です。電子申請(e-Gov等)は便利そうですが、初回は直接相談しながら進めたいと思っています。
正直に書くと、不安な点はいくつかあります。
- 必要書類が揃っているか自信がない
- 管轄の年金事務所の確認
- 手続き期限(設立から5日以内が目安とされているが、正確なところが不明)
- 社労士に依頼するか自分でやるか、まだ判断できていない
やってみてからわかることも多いと思います。手続き後にこの記事を更新する予定です。
年金事務所での実際の手続き体験(必要書類・窓口での流れ・所要時間など)については、詳細な一次情報の準備ができ次第、別記事または本記事への追記で後日公開予定です。
2026年6月時点の情報です。 手続きの詳細や必要書類は年金事務所または加入する健康保険組合にご確認ください。
よく言われる「役員報酬8万円」は本当にお得か?
「役員報酬を8万円にすると社保が安くなってお得」という情報をよく見かけます。これは本当でしょうか?
役員報酬8万円の社会保険料(2026年・参考試算)
役員報酬80,000円の場合(標準報酬月額:88,000円・第2等級)
| 項目 | 個人負担 | 会社負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料 | 約4,391円 | 約4,391円 | 約8,782円 |
| 厚生年金保険料 | 約8,052円 | 約8,052円 | 約16,104円 |
| 月額合計 | 約12,443円 | 約12,443円 | 約24,886円 |
| 年間合計 | 約149,316円 | 約149,316円 | 約298,632円 |
※2026年6月時点・協会けんぽ東京都の料率を参考に算出した概算です。正確な金額は加入する健康保険組合・都道府県によって異なります。
45,000円設定と比較すると、ひとり社長が払う総額で年間約10万円の差が生じます。
「8万円」がお得ではないケース
8万円設定のデメリットも正直に書いておきます。
1. 老後の年金が少なくなる
標準報酬月額が低いほど、将来受け取れる老齢厚生年金も少なくなります。45,000円設定でも8万円設定でも同様ですが、報酬が低いほど影響が大きくなります。
筆者はこの点を気にしており、対策としてNISAを上限満額で積み立て中です。iDeCoや小規模企業共済も選択肢としてありますが、まずNISAを優先してから次のステップを考える方針にしました。
2. 銀行融資・住宅ローンの審査への影響
役員報酬が少ないと、収入証明として提出できる金額が少なくなります。将来的に事業融資や住宅ローンを検討している場合は、役員報酬の設定額が審査に影響することがあります。
3. 生活費が足りないリスク
役員報酬が生活費をカバーできない金額の場合、個人事業主の売上や別の収入源で補う必要があります。法人収入のみで生活するケースでは、役員報酬を低く設定しすぎることに注意が必要です。
筆者の考える「最適解」の出し方
「役員報酬は〇〇円がベスト」という唯一の正解はありません。筆者が出した結論は、「マイクロ法人+個人事業主の2刀流で、手取りを最大化する」でした。
ポイントをまとめると:
- 個人事業主の売上 → 本業の報酬はここから得る
- 合同会社の役員報酬 → 最低限の金額(45,000円)にして社保に加入する
- 老後対策 → NISAで資産形成を並行して進める
これは個人事業主との2刀流ありきの最適解です。法人収入のみで生活する場合など、状況が違えば最適な金額も変わります。
freee会計の詳細を見る税理士への相談を強くおすすめします。 役員報酬の設定は、社保料だけでなく法人税・所得税・住民税にも影響します。個人の状況に合った金額は、税理士に試算してもらうのが確実です。(2026年6月時点の情報です)
6月〜7月にやるべきこと:算定基礎届の手順
この記事を作成する中で初めて存在を知ったのが「算定基礎届」でした。7月10日という締め切りが近いので、ここをしっかり押さえておきましょう。
算定基礎届とは?いつ・誰が・何をするか
毎年7月1日〜7月10日が提出期限の書類で、正式名称は「被保険者報酬月額算定基礎届」といいます。
4月・5月・6月に実際に支払われた報酬の平均額を年金事務所に届け出ることで、9月分から翌年8月分の標準報酬月額が改定されます。つまり、この届け出の内容が次の1年間の社会保険料を決定します。
2026年の提出期限:2026年7月10日(金)
提出対象は、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入している全員です。ひとり社長も例外ではありません。
ひとり社長の算定基礎届:記入方法と提出
役員報酬を毎月定額にしている場合、算定基礎届の記入は比較的シンプルです。
- 4月・5月・6月の報酬月額が同額(例:毎月45,000円)
- 3か月の合計を3で割った平均額が「報酬月額」になる
- 対応する等級を確認して記入し、提出する
提出方法は以下から選べます:
| 方法 | 詳細 |
|---|---|
| 窓口 | 管轄の年金事務所に直接持参 |
| 郵送 | 年金事務所宛に書類を送付 |
| 電子申請 | e-Gov(GビズID取得が必要)やe-Satoを使用 |
筆者は初回の社保加入手続きを窓口で行う予定のため、算定基礎届も最初は窓口で確認しながら進めるつもりです。慣れてきたら電子申請に移行を検討します。
実際に算定基礎届を意識したタイミングで、税務署の担当者に状況を確認しました。筆者の場合、初回の役員報酬の支払いが7月25日だったため、6月時点では報酬の支払い実績がゼロ。「支払い実績がない場合、今回(上期)の算定基礎届は対象外になります」という説明を受け、2026年の算定基礎届については提出が不要という結論になりました。
現在の月額社会保険料は45,000円です。設立時に自分で決めた見込み報酬額をベースにした金額で、来年以降の算定基礎届を経て正式に確定していく流れになります。正直なところ、制度の細部についてはまだ完全に理解しきれていないと感じています。来年の算定基礎届が来るまでに、しっかり調べて理解を深めておきたい——これが当事者としての今の率直な気持ちです。
提出し忘れたらどうなる?
算定基礎届を提出しなかった場合、年金事務所が職権で標準報酬月額を決定します。実態に合わない金額になる可能性があり、翌年8月まで不正確な保険料が続くことになります。
ペナルティというより「正確に管理できなくなる」という問題です。今すぐカレンダーに「7月10日(金):算定基礎届の提出期限」と登録しておきましょう。
算定基礎届と月額変更届の違い
よく混同されますが、2つは別物です。
| 書類名 | 提出タイミング | 対象 |
|---|---|---|
| 算定基礎届 | 毎年7月(定期) | 加入者全員 |
| 月額変更届(随時改定) | 役員報酬を大幅変更したとき | 変更があった場合のみ |
役員報酬を年の途中で大幅に変更した場合(2等級以上の差が生じた場合)は、算定基礎届を待たずに月額変更届を提出する必要があります。役員報酬を毎月固定額にしているひとり社長は、基本的に算定基礎届だけ対応すればOKです。
まとめ:ひとり社長が今すぐやるべき3ステップ
最後に、この記事の内容を3ステップで整理します。
ステップ1:役員報酬の設定額を決め、社保料を試算する
自分の生活状況・個人事業主との兼業有無・将来の融資計画を踏まえて金額を決めましょう。筆者はマネーフォワードクラウドを使って手続きを進めています。ロードマップが順番に表示されるので「次に何をすべきか」が明確になります。
ステップ2:7月10日までに算定基礎届を提出する
6月末時点で社会保険に加入済みの方は、7月10日(金)までに算定基礎届を年金事務所に提出してください。今年初めての提出という方は、提出方法(窓口・郵送・e-Gov)を事前に確認しておきましょう。
ステップ3:年間コストを会計ソフトで管理する体制を作る
マネーフォワードクラウドなどの会計ソフトを使えば、役員報酬・社保料・経費を一元管理できます。やるべきことが順番に出てくるので、初めてのひとり社長でもロードマップ通りに進めやすいのがメリットです。
「ロードマップをしっかり作って、その通りに進んでいけばいい」——合同会社の設立を進める中で実感していることです。よくわからないことがあっても、間違えたら戻ってやり直せばいい。完璧にわかってから動こうとすると、ずっと動けません。一歩ずつ、前に進んでいきましょう。
最終的な役員報酬の設定は、必ず税理士に相談してください。 社保料だけでなく法人税・所得税・住民税への影響も含めて、個人の状況に合った金額を確認することを強くおすすめします。(2026年6月時点の情報です)
筆者プロフィール:求人広告の運用代行(Indeed・求人マーケ)を専門とするフリーランス。2026年6月に合同会社を設立し、マイクロ法人を活用した社会保険の最適化に取り組み中。→ 筆者プロフィールへ

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