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合同会社の登記が完了した瞬間、「これで会社設立は終わり」と安心したくなります。しかし、実際には登記後から税務署、自治体、年金事務所、銀行、会計処理などの手続きが続きます。
筆者も2026年6月に、資本金30万円で合同会社ArcStoryを設立しました。本店は戸建ての自宅です。登記が終わったあとに感じたのは、手続きの数そのものよりも「どれが自分に必要で、何から進めればよいのか」が分かりにくいことでした。
この記事では、「合同会社 設立後 やること
チェックリスト」を探しているひとり社長向けに、登記後の作業を15項目へ整理します。制度や期限は2026年8月9日に国税庁・日本年金機構などの公的情報で再確認しました。一方、実際に選んだ銀行や会計方法、窓口で感じたことは、筆者本人の経験として分けて記載します。
最初に結論をお伝えすると、設立後は次の順番で進めると整理しやすくなります。
- 期限が短い社会保険と給与関係を先に確認する
- 税務署と自治体への届出を期限表にまとめる
- 法人口座・支払手段・会計ソフトを整える
- ひとり社長にはまだ不要な手続きを切り分ける
なお、この記事は一般的な情報と筆者の経験をまとめたものです。会社の所在地、役員構成、従業員の有無、インボイス登録、事業年度などで必要な手続きは変わるため、最終的には所轄の税務署、自治体、年金事務所、税理士・社会保険労務士などへ確認してください。
合同会社設立後にやることチェックリスト15項目
まずは全体像です。「必ず全社に同じ15項目が必要」という意味ではなく、ひとり社長が設立後に判断すべき項目を、実行順に並べています。
| # | やること | 主な期限・目安 | 筆者の優先度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 登記事項証明書・定款などをまとめる | 登記完了後すぐ | 高 |
| 2 | 会社専用の期限表を作る | 登記完了後すぐ | 高 |
| 3 | 法人設立届出書を提出する | 設立後2か月以内 | 高 |
| 4 | 青色申告の承認申請書を提出する | 原則、設立後3か月経過日と第1期末の早い方の前日まで | 高 |
| 5 | 給与支払事務所等の開設届出書を提出する | 事務所開設から1か月以内 | 高 |
| 6 | 源泉所得税の納期の特例を検討する | 申請は随時 | 中 |
| 7 | 都道府県・市町村の法人設立届を確認する | 自治体ごとに確認 | 高 |
| 8 | 社会保険の新規適用届を提出する | 事実発生から5日以内 | 最優先 |
| 9 | 被保険者資格取得届などを提出する | 新規適用とあわせて確認 | 最優先 |
| 10 | 法人口座を開設する | 登記完了後、準備でき次第 | 高 |
| 11 | 法人の支払手段を決める | 口座開設後 | 中 |
| 12 | 会計ソフトと勘定科目を整える | 取引が増える前 | 高 |
| 13 | 設立前後の立替経費を整理する | 初月中 | 中 |
| 14 | 役員報酬・源泉徴収の月次運用を作る | 初回支給前 | 高 |
| 15 | 労働保険など「今は不要な手続き」を切り分ける | 採用前に再確認 | 中 |
以下、それぞれを詳しく説明します。
1.
登記事項証明書・定款などを一か所にまとめる
登記が完了したら、まず会社の基本資料を紙とデータの両方で整理します。税務署、自治体、年金事務所、銀行などで、登記事項証明書、定款の写し、法人番号、代表社員の本人確認書類などが必要になる場面があります。
必要になるたびに探すと、手続きのたびに作業が止まります。筆者は「会社基本情報」「税務」「社会保険」「銀行・支払」「契約」のように分けて保管する運用にしました。書類名だけでなく、提出日、提出方法、控えの保存場所まで一緒に記録しておくと、あとから税理士や行政窓口へ説明しやすくなります。
2. 会社専用の期限表を作る
合同会社設立後の手続きで怖いのは、作業量より期限の混在です。社会保険は短く、給与関係は1か月、法人設立届は2か月、青色申告は事業年度によって期限が変わります。
カレンダーへ入れるときは、法律上の最終期限だけでなく「自分の着手日」を前倒しで設定します。たとえば提出期限の7日前を社内締切にし、必要書類が不足している場合の余白を確保します。電子申請、郵送、窓口持参のどれで出したかも残してください。
3.
税務署へ法人設立届出書を提出する
国税庁によると、法人設立届出書は設立の日以後2か月以内に提出します。定款などの写しも必要です。2026年8月9日時点では、e-Taxまたは書面で提出できます。
ここで重要なのは、「登記が終わった日」と「自分が作業を始めた日」を混同しないことです。期限は設立日を基準に考えます。控えの扱いや受付記録も含め、提出した事実が後から分かる状態にしておきます。
4.
青色申告の承認申請書を提出する
設立第1期から青色申告を利用する場合は、青色申告の承認申請書を提出します。期限は、設立の日以後3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了日のうち、早い方の前日までです。
「3か月ある」と考えると危険です。決算月が近い時期に設立した会社は、第1期末のほうが先に来る場合があります。筆者の合同会社ArcStoryは決算月を5月に設定しているため、会社ごとの設立日と事業年度を合わせて期限を確認する必要があります。
5.
給与支払事務所等の開設届出書を提出する
役員報酬や従業員給与を支払う場合は、給与支払事務所等の開設届出書を、給与支払事務所を設けてから1か月以内に提出します。
ひとり社長でも、自分へ役員報酬を支払うなら給与関係の運用が始まります。「従業員がいないから給与の届出は不要」と思い込まず、自社の支給予定と照らして判断してください。
6.
源泉所得税の納期の特例を検討する
給与の支給人員が常時10人未満の場合、源泉所得税の納期の特例を申請できます。毎月ではなく原則年2回へまとめて納付する仕組みで、小規模な会社では事務負担を減らせます。
筆者は税務署の窓口で、この制度を教えてもらいました。オンラインだけで完結させる方法もありますが、制度の名前すら分からない段階では、窓口で質問できることにメリットを感じました。申請すればすべての税務作業が年2回になるわけではないため、対象範囲と納期限は別途管理します。
7.
都道府県・市町村の法人設立届を確認する
国税庁への届出とは別に、都道府県や市町村へ法人設立・設置に関する届出が必要になる場合があります。地方税の提出期限や添付書類は自治体によって扱いが異なるため、全国一律の期限として断定しないほうが安全です。
eLTAXで電子申請できる手続きもあります。自社の本店所在地を管轄する自治体の案内を確認し、国税の届出と別行で期限表へ入れてください。
8.
社会保険の新規適用届を提出する
日本年金機構は、事業主のみの場合を含む法人事業所を、原則として厚生年金保険・健康保険の適用対象と案内しています。新規適用届の提出時期は、事実発生から5日以内です。提出方法は電子申請、郵送、窓口持参があります。
税務署の法人設立届より期限が短いため、社会保険は設立直後の最優先項目です。役員報酬額、資格取得日、被扶養者の有無などによって必要書類が変わります。登記簿謄本など、添付書類の発行日にも条件があるため、日本年金機構の最新案内を確認してください。
社会保険と役員報酬の考え方は、別記事「ひとり社長の役員報酬と社会保険料」でも、筆者の条件を含めて整理しています。
9.
被保険者資格取得届などを提出する
新規適用届だけでなく、役員本人の被保険者資格取得届、家族を扶養へ入れる場合の被扶養者関係の届出なども確認します。会社だけを適用事業所に登録しても、役員本人の資格取得が自動的にすべて完了するとは限りません。
家族の収入見込み、勤務条件、他の健康保険の資格喪失日など、会社設立だけでは決まらない情報があります。家族を雇用する予定がある場合は、役員・従業員・被扶養者のどの立場になるのかを整理してから進めます。
10. 法人口座を開設する
売上と経費を個人のお金から分けるため、法人口座を準備します。銀行によって必要書類や審査項目が異なり、事業内容、会社サイト、契約書、売上の根拠などを求められることがあります。
筆者は住信SBIネット銀行の法人口座を利用しています。ただし、この記事では法人口座案件の広告提携が完了していないため、広告リンクは掲載していません。未提携のリンクを仮置きしたり、別案件のリンクで代用したりしない運用にしています。
11. 法人の支払手段を決める
法人口座ができたら、振込、口座振替、デビットカード、法人クレジットカードなどの役割を決めます。最初から複数枚のカードを作ると、明細の照合や証憑管理が複雑になります。
筆者は、マイクロ法人の支払いなら当面は法人デビットで十分と判断しました。デビットカードは利用時に口座から引き落とされるため、残高管理が必要です。一方で、後払いのクレジットカードとは資金繰りや利用可能枠が異なります。自社の取引量と支払先に合わせて選びます。
12.
会計ソフトと勘定科目を整える
取引件数が少ないうちに、法人口座・カード・売上入金・経費の記録方法を決めます。会社設立時の資本金、設立費用、役員からの立替、個人事業との取引などは、初期設定を曖昧にすると後から修正が増えます。
筆者はマネーフォワード系のサービスを使いながら、法人と個人の会計を分けています。自社の銀行連携や請求書発行、税理士とのデータ共有を重視する場合は、早めに会計ソフトを決めるとスムーズです。
13.
設立前後の立替経費を整理する
登記費用、印鑑、証明書、交通費、会議費などを代表者個人が立て替えている場合は、領収書と支払日、用途、支払者を整理します。個人事業の支出、法人設立のための支出、設立後の法人経費を混ぜないことが大切です。
会計ソフトへ入力する前に、証憑の保存場所とファイル名のルールを決めます。判断に迷う支出は、勝手に経費へ入れず、税理士などへ説明できるメモを残しておきます。
14.
役員報酬・源泉徴収の月次運用を作る
役員報酬の金額、支給日、振込方法、給与明細、源泉徴収、社会保険料の預かりと会社負担分を毎月どう処理するか決めます。役員報酬は会社設立後に自由に増減できる給与と同じではなく、税務上の扱いを踏まえて決定する必要があります。
筆者の初回役員報酬支払日は2026年7月25日でした。自分の会社から自分へ給与を払う作業は、「自分で自分に給与を払うとか変な感じ」というのが正直な感想です。しかし、会社のお金と個人のお金を分けるうえでは、振込記録と明細を残すことが重要です。
筆者が役員報酬45,000円をどう考えたかは、「役員報酬45,000円にした実体験」にまとめています。
15.
労働保険など「今は不要な手続き」を切り分ける
競合記事のチェックリストには、労働基準監督署やハローワークへの手続きが並ぶことがあります。ただし、役員だけの会社と、従業員を雇う会社では必要な手続きが同じではありません。
ひとり社長が誰も雇用していない段階では、従業員の雇用を前提とする手続きを今すぐ行わない場合があります。一方、家族を従業員として雇う、アルバイトを採用する、雇用保険の対象者が出るといったタイミングでは再確認が必要です。「不要」と永久に決めるのではなく、「現時点では対象外」「採用前に再判定」と記録します。
【実体験】合同会社ArcStoryで優先した順番
筆者は、資本金30万円、決算月5月、自宅本店の合同会社ArcStoryを設立しました。会社規模が小さいからといって、期限のある手続きがなくなるわけではありません。むしろ、担当者が自分一人なので、抜け漏れを止めてくれる人がいません。
実際に重視したのは、次の4点です。
期限が短い手続きから先に着手する
登記後は、社会保険、給与関係、税務届出の順に期限を並べました。法人設立届の2か月だけを見るのではなく、新規適用届の5日、給与支払事務所の1か月など、短い期限から確認します。
オンラインと窓口を使い分ける
電子申請は移動時間を減らせます。ただ、制度の全体像が分からないと、どの申請を探せばよいかで止まります。筆者は税務署の窓口で源泉所得税の納期の特例を教えてもらい、「窓口に行くメリット」を感じました。
オンラインだけ、窓口だけと固定せず、質問が多い初回は窓口、定型化した後は電子申請という使い分けも現実的です。
法人口座と支払手段を増やしすぎない
会社を作ると、法人カードや銀行口座を一気に整えたくなります。しかし、取引量が少ない段階では、管理対象が増えるほど照合に時間がかかります。筆者は住信SBIの法人口座と法人デビットから始めました。
必要になった時点で追加する方針なら、最初の会計フローを単純にできます。広告案件の有無でサービスを選ぶのではなく、手数料、支払先、会計連携、利用枠など、自社の条件で判断します。
会社と個人のお金を明確に分ける
資本金、役員報酬、立替経費、個人事業側の売上・経費が混ざると、帳簿の説明が難しくなります。会社口座ができる前の支払いも、誰が何のために支払ったのかを記録します。
最初の1か月で完璧な経理制度を作る必要はありません。ただし、証憑をなくさない、会社と個人を分ける、判断理由をメモする、という最低限は先に決めておくと安心です。
合同会社設立後に迷いやすい5つのポイント
「期限内なら後回し」でよいとは限らない
銀行口座や会計設定は法定期限がない場合でも、売上入金や経費精算が始まると必要になります。法定期限と実務上の開始期限は別に管理してください。
青色申告の期限は会社ごとに変わる
設立後3か月だけで覚えず、第1期の終了日との早い方を見ます。短い初年度を設定した会社では、想定より早く期限が来る場合があります。
社会保険は「売上が少ないから不要」とは限らない
法人事業所は、事業主のみの場合を含めて原則適用と案内されています。売上規模だけで加入要否を決めず、年金事務所の案内に沿って進めます。
未提携の広告案件を公開の条件にしない
この記事では、法人口座と法人カードの広告提携が未完了でも、記事公開を止めない設計に変えました。提携済み・リンク取得済みの案件だけを掲載し、未提携案件は通常のサービス紹介にとどめます。
記事を先に公開し、検索評価や読者ニーズを見ながら、後から適切な案件を追加できます。存在しない仮リンクや、別案件へ飛ぶリンクを残さないことのほうが重要です。
一般論と実体験を混ぜない
筆者が実際に経験したのは、合同会社ArcStoryの設立、自宅登記、初回役員報酬、税務署窓口、住信SBI法人口座・デビットなどです。自治体や会社条件で変わる手続きについて、筆者の1社だけを全国共通の正解として書かないようにしています。
登記完了から1ヶ月の進め方
登記完了直後〜5日
- 登記事項証明書、定款、法人番号などを整理する
- 年金事務所の新規適用手続きを確認する
- 役員本人・家族に関する資格取得関係を整理する
- 全届出の期限表を作る
1週間〜2週間
- 税務署の法人設立届、青色申告、給与関係書類を準備する
- 都道府県・市町村の届出を調べる
- 法人口座の申込みに必要な事業資料を整える
- 設立前後の領収書・立替経費を分類する
3週間〜1か月
- 給与支払事務所等の開設届出を期限内に提出する
- 役員報酬の支給日、明細、源泉徴収の運用を固める
- 会計ソフト、口座連携、証憑保存の流れを作る
- 未提出・不足書類がないか、控えと受付記録で確認する
この順番は、すべての会社に同じ提出順を強制するものではありません。自社の設立日、所在地、事業年度、役員・従業員構成に合わせて調整してください。
まとめ:設立後は「短い期限・お金の分離・不要な手続きの切り分け」から
合同会社設立後にやることは多く見えますが、15項目を同じ重さで処理する必要はありません。
まず、社会保険や給与関係など期限が短いものを確認します。次に、税務署と自治体への届出を期限表で管理します。そのうえで、法人口座、支払手段、会計ソフトを整え、会社と個人のお金を分けます。
ひとり社長の場合は、従業員を前提とする手続きを現在の会社に当てはめ、対象外なら「採用前に再確認」と記録しておくことも大切です。
筆者自身、合同会社ArcStoryを設立してみて、手続きは知識だけでなく順番が重要だと感じました。分からない制度は、公的サイトを読むだけで止まらず、税務署や年金事務所の窓口も活用すると前へ進みやすくなります。
最後に、今すぐ行う3ステップをまとめます。
- 自社の設立日を基準に、5日・1か月・2か月・青色申告の期限を記入する
- 社会保険、税務署、自治体の順に提出状況と控えを確認する
- 法人口座・役員報酬・会計ソフトの月次運用を1枚にまとめる
参考にした公的情報
公的情報の最終確認日:2026年8月9日
